- 出典:
- 記者名:嶋泰宣
- 記事タグ:こんにちはマート
子供たちの声で目が覚めた。
薄いせんべい布団に横たわっていた。
昨日の記憶がほとんどない…そもそも、この家はどこだ…?
近くにいた10代の女性に確認した。
あなたは、バケツビールなんか飲むから、気を失って、民族長が私たちの家へ
招き入れ、そのまま、寝てしまったのよと。
全然、覚えていない…。寝ざめに水を頂き、御礼と、子供たちがどこへ行くのか聞いた。
今から、無償提供の学校へ行き、勉強するのだと。
彼女も、これから、無償提供される大学で、教員になる勉強をするのだと。
大人たちしか残っていない村で、民族長の家を伺い、御礼を兼ねてご挨拶へ。
陽気な笑顔で、アジアンでこの村に泊まった1号だ!!おめでとう!!と。
いやいや…泊ったというか気を失ったというか…バケツビール恐るべし…。
民族長に昨日飲んだバケツビール…気を失ったんだが、あれ、本当にビールなんだよね…???と尋ねた。
返ってきた答えは、まービール成分をガソリンで割った飲み物だよ♪と…
真相は未だに謎のままだが、飲み続けたら10年で失明するとか言ってたし…
半ば、嘘でもないような気がする…。
日中は、お世話になった皆様に御礼と、何かお手伝いをしたく、洗濯、掃除、
海でのナマズ釣り、釣ったナマズに塩をふって焼いて、みんなで食事。
はっきり言って、全然美味しくない…とても臭いナマズだ…。
それもそのはず。マココはトイレもないため、糞尿、ゴミ、なんでも海へ…。
ヘドロと糞尿、ゴミに油とまみれた海で育ったナマズ…美味しいわけがない…。
でも、彼らからしたら最高のおもてなし。
黙って食べるしかない…それにしても臭い…。
午後になり、低学年の子供たちが学校から戻り始め、遊んでー♪と。
無邪気に笑う子供たちに、何がしたい?サッカー?と聞くと、
サッカーも良いんだけど、違う遊びを教えてほしいと。
野球、ベースボールって知ってる?と聞くと、全員、ポカンと…。
そうだよな…人口2億1800万人のナイジェリアで、野球競技人口はわずか600人程度…知ってるわけないか…。
YouTubeを見せながら、「投げる」「打つ」「捕る」を教える。
やってみたーーーーい!!と群がる子供たち。
最初は、投げ方もおかしいし、木の棒に球が当たるわけもなく、すぐ、飽きちゃうかな…と心配になったが、ハングリー精神と好奇心旺盛な子供たち。
飽きることなく、もう一回!もう一回!!と。
野球には、プロの選手がいて、日本やアメリカではメジャーなスポーツで、
稼ぐ人はサッカー選手よりも稼いでるんだよ!って話をした。
え!?メッシやロナウドよりも稼ぐ人がいるスポーツなの!?と。
そうなんだよー、野球ってすごいでしょー!と話しながら、松井秀喜さんの
現役時代のYouTubew見せ、私は、彼のオンライン野球教室でナイジェリアに来ていることを話した。
すると、40名以上の子供たちが、食い入るように見つめ、俺も、この遠くにボールを飛ばしてみたい!!と✨
これはね、ホームランって言うんだよ。1点はいるんだよ!サッカーで言うゴールであることを説明した。
「稼げる」「ホームラン」この2つが、子供たちを魅了し、目をキラキラさせながら、飽きることなく、野球の練習が始まった。
あぁ…やっぱり、野球っていいなぁ、楽しいなぁ♪と思いつつ、目の前の生きる環境は変わらず、過酷で、ふとした疑問が。
この環境で生きるって正直、辛くないのかな…?
どうして、みんな、無邪気にずっと笑っていられるんだろう…?
モヤモヤする気持ちと、聞いては失礼だよな…という気持ちが葛藤したが、思い切って聞いてみた。
みんなはさ、この環境で辛くないの?どうして、そんなに無邪気に笑っていられるの?
昨晩、気を失って、泊めて頂いた、大学生の彼女が帰宅しており、代表して答えてくれた。
「目の前の現実を見ると、死にたくなる。だから、常に、楽しいことを探して
笑っていないと、目の前の現実に押しつぶされそうになって死にたくなるの。だから、私たちは、常に、楽しいことを探して笑ってるようにしているの。」
…頬に涙が流れた…
聞いてしまい申し訳ない想いと、どうにか、この子たちの未来を明るくしたい!と思った。
野球の話に、戻し、野球とサッカーって大きな違いがあることを話した。
サッカーは上手な子に、ボールは集まりやすい。へたしたら、1度もボールに触れることなく試合が終わる可能性もある。
でも、野球は、打席が1番から9番まであって、必ず、平等に打席が回ってくる。
つまり、チャンスが平等なスポーツであることを説明した。
子供たちは、更に、無邪気に笑い、目をキラキラさせて話を聞いてくれた。
「稼げる」「ホームラン」「打席が平等」
この3つのキーワードに魅了された子供たちは、この国は不平等。
お金持ち、政治家が権力者。
彼らがすべてを持っていき、私たちは、数少ない残されたお金と食料で生活するしかない。ナイジェリアにも、野球が広まって、プロ野球選手が、マココからうまれたら、変われるかもね!と。
そうか!?私は、この地から、ナイジェリアから、野球を振興し、将来のプロ野球選手を輩出し、その子が、村に貢献し、今より豊かな生活をおくれる環境を提供したいんだ!と気づいた。
その為には、どこから、何をしたらいいんだろ…?
その場では、答えが見つからない…どうやったらいいかなー???と
子供たちへ投げかけてみた。
答えは単純明快だった。
権力者と繋がり、巻き込み、権力者と共に、環境開発。
この国は、不平等。貧困者の下剋上など、チャンスさえない。
悔しいが、権力者に野球を理解してもらい、一緒に、振興、普及してくれる人を探し、増やしていかないといけない。
ただ、権力者が誰かも分からないし、繋がりもない…
ただ、分かっているのは、政治家=権力者。
今回は時間がない。明日のフライトで日本へ帰らなければならない。
民族長へお願いし、今日は、バケツビールはなしで、真面目に、ナイジェリアの政治家、権力者について、教えをこいた。
朝方まで、ひたすらメモし、早朝便で日本へ。
最後に、村の皆様へ、御礼をし、民族長から2泊もアジアンがしたなんて、素晴らしいことだ!また、すぐに帰って来なさい。ここは、あなたの第2の家族だ✨
あたたかいお言葉を頂き、飛行機に乗り、メモを見ながら、権力者リストを作成し、どう、接触できるかを考え始めた。
~続く~